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Kyoko Watanabe and Joseph Caley in Coppélia. Photo: Takashi Shikama


名版を我がものとした、スターダンサーズ・バレエ団の『コッペリア』
Star Dancers Ballet - Coppélia




東京では年初から楽しみなバレエ公演が目白押しだったが、スターダンサーズ・バレエ団が上演したのは、ピーター・ライト版『コッペリア』。タイトルになっているコッペリアとは、ポーランドの南のとある村に住むコッペリウス博士が作った美しい等身大の人形の名前である。同じ村の若者フランツが、スワニルダという恋人があるにも関わらず、そして人形と知らぬままに彼女に心惹かれたことから、一騒動が持ち上がる。

1870年のパリ・オペラ座での初演以来あまたある演出の中でも、このライト版は名版のひとつである。等身大で共感できる登場人物たちの描き方、ピーター・ファーマーによる写実的でしっとりした色味の美術、そして何より一度は壊れてしまったコッペリアが人間に変容する、“奇跡の”と称したくなる幕切れなどが、何度観てもしみじみとした感動を誘う。



Kyoko Watanabe and Joseph Caley in Coppélia. Photo: Takashi Shikama


初日のスワニルダは、渡辺恭子。大きく空間を使いながらよく音に乗った踊りが心地よい。コッペリウスの工房でのコッペリアに扮しての人形振りや民族舞踊、魂を抜き出す“実験台”にされかかったフランツを救い出す場面での大暴れも、溌剌とこなして魅力的だった。フランツ役は、バーミンガム・ロイヤル・バレエから客演のジョセフ・ケイリー。弾むようなステップの一つひとつが、人好きのする性格だがちょっと浮ついたフランツをごく自然に、そしてその自然さの先に一歩大きく踏み出すようにして、活き活きと演じた。東秀昭のコッペリウスは、偏屈さと愛嬌のバランスがよく、最後に彼に訪れたハッピーエンドを心から祝福したくなる役作りだった。(1月8日、東京文化会館。長野由紀)