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National Ballet of Japan - Ayako Ono (Sylphide) and Yudai Fukuoka (James) in La Sylphide. Photo: Hidemi Seto.


新国立劇場バレエ団『ラ・シルフィード』
National Ballet of Japan - La Sylphide




2003年夏以来11年半ぶりとあって、主要キャストも完全に世代交代しての上演。とはいえ最終日の2月11日は、小野絢子、福岡雄大が“初役のわりには”の但し書きの要らないみごとな踊りで、たいへん満足させられた。

幕が開くと、そこはスコットランドの裕福な農家。婚礼の日を迎えた青年ジェームズ(福岡)は、夢に現れた美しいシルフィード(小野)が目覚めてもそこにいるのを見て、ますます夢中になる。追いかけてもその手をするりと逃れていく小野の軽やかさ、硬い靴音の全くしない丁寧で質の高い踊り、そして正確なポジションと溜めの生む清楚で上品な印象の中に見え隠れする艶っぽさが、たいへん魅力的だ。福岡は、弾力のあるジャンプと切れのある足さばき、そして空中や踊り終わりでのポーズの美しさに見応えがあり、また、そもそも周りには見えないシルフィードを見てしまうジェームズの、夢想的な気質やそれ故の思い込みの強さもよく表現して、説得力があった。本島美和のマッジも非常に力があり、物語の緊迫感を高めていた。



National Ballet of Japan - Yudai Fukuoka (James) in La Sylphide. Photo: Hidemi Seto.


その上でさらに欲を言えば、ブルノンヴィル特有の、たたみかけるようなスピード感や、丸みのある腕のライン、そして民族舞踊の量感がバレエ団全体に出てくれば、最高だろう。今回の上演は主役4組が各1回だけ。次はまた11年後、などということにならいよう祈りたい。(長野由紀)






Ayako Ono and Yudai Fukuoka in Balanchine's Tarantella. Photo: Takashi Shikama


新年を美しく彩った、新国立劇場バレエのニュー・イヤー・バレエ
National Ballet of Japan - New Year Gala




新国立劇場バレエの年初を飾った「ニューイヤー・バレエ」は、19世紀の古典と、それを基に20世紀に入ってソ連とアメリカに分かれて発達したパ・ド・ドゥや名作を連ね、そこに現代作品1つが加わったラインナップ。やや冒険心に欠くかと思いきや、クラシックをベースにしたこれらの振付はダンサーの力量の高さを示すのにじつに好適といえるもので、実際の舞台にはとても満足させられた

幕開きはバランシン振付の『セレナーデ』。このバレエ団の美点である整然と揃った女性アンサンブルに、今回は、これまでの上演にはなかったスケールや張りつめた力強さが加わった。それによって、単に視覚的な美しさだけでなく、バランシンならではの自在な構築性や、チャイコフスキーの曲想そのものの奥行きのある情感を感じさせ、特に第1、2楽章が忘れがたい。



National Ballet of Japan in Balanchine's Serenade.. Photo: Takashi Shikama


第二部は、まず貝川鐵夫振付の『フォリア』。2013年初演の男女6人による抽象作品で、コレルリの音楽に呼応した男女、あるいは男性同士の組み技などに造形的なセンスを感じさせる。『パリの炎』は、他の定番的なパ・ド・ドゥと比べてアダージョが軽量、その分ヴァリエーション以降に関心が集中する作品だが、福田圭吾がバネのある踊り(だが、瞬時に客席の心を捉える普段の彼のチャーミングさを、もっと発揮してほしかった)。『海賊』は、長田佳世の音楽とひとつになった動きや、彼女が高いリフトで悠々と運ばれていく場面がじつに美しい。そして『タランテラ』は、男女のアップテンポな踊りが途切れることなく続く中、小野絢子のきびきびと決まるポーズや思い切りのよいコミカルさ、福岡雄大のいなせで明るい身体使いに、観るものの心も浮き立つ。

最後はプティパ原振付の『ライモンダ』第3幕(牧阿佐美版)。主演の米沢唯は、一見おっとりとした個性ながら、鋭敏な音楽性が正確で軽やかな動きとひとつに溶け合って、これまで以上に風格がある。相手役の井澤駿も決めどころを心得た主役らしい踊りで、若手のプリンス役としてますます今後に期待が高まった。(1月10日、新国立劇場。長野由紀)