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ロイヤル・バレエ・スクールで生徒たちを指導するクリストファー・パウニー Photo: Schuhlelewis.com


ロイヤル・バレエ・スクールの現在
Christopher Powney




校長に就任して最初の卒業生をこの夏送り出すクリストファー・パウニー。エマ・コールダーによるインタビューの一部をお伝えします。

コールダー(以下EK):スクールとロイヤル・バレエの関係は?
パウニー(以下CP):大変強く結ばれていると断言できます。芸術監督のケヴィン・オヘアとはたいへん良好な関係にあり、スクールとバレエ団がうまく連携できるよう尽力してくれていますし、私自身もバレエ団からのよい影響をさらにスクールに取り込んでいきたいと思っています。同時に、バーミンガム・ロイヤル・バレエとの絆も強めたい。私達は今でも同団のための学校でもあるし、デイヴィッド・ビントリーにスクールに来てもらったこともあります。“ロイヤル”三者の関係を大事にしていきたいですね。カンパニーから指導に来てもらうこともあり、ちょうど今もジョナサン・コープがアッパー・スクールでパ・ド・ドゥを教えているところ。プリンシパル・キャラクター・アーティストたちには、劇作法のクラスを受け持ってもらっています。アレッサンドラ・フェリは『ウルフ・ワークス』に出ていた間にリハーサルを見に来ましたが、生徒たちはもちろん彼女に夢中でした。フェリは素晴らしい。脱帽です。

EK:生徒たちがカンパニーで踊る機会もありますよね?
CP:ええ、私達が重視していることのひとつです。カンパニーの一員として踊る体験は重要だし、ケヴィンもデイヴィッドも進んで生徒たちを使ってくれる。大きなプロダクションに関われるのは、生徒たちには素晴らしいチャンスです。もちろん授業とのバランスは取らねばなりませんが、カンパニーへの出演はトレーニングの一部であり、また彼らの将来の仕事でもあるので、現場を体験することで、チームワークはじめ様々なことを身につけてほしいです。

EK:コンクールについてのご意見をお聞かせください。
CP:難しい問題ですね。賛否両論があり、白黒つけることは出来ません。セルゲイ・ポルーニンやスティーヴン・マクレイのように、コンクール入賞をきっかけにプロへの道が開けたという一流ダンサーは多いですし、私自身、最高の人材を求めてコンクールに出向き、空きがあれば留学をオファーします。それによって、学校全体の水準も上がりますからね。コンクールへの出場は、生徒のためになるかどうかを最優先で考えるべきです。年齢からみて高度すぎるソロで臨んでくる生徒もいますが、私は、まだ準備ができていない段階であまり難しいことをやらせる傾向には、反対です。アーティストの育成にはいくつもの要素が絡んできますが、順位だけを目的としたコンクールには意味がありません。ローザンヌ国際バレエ・コンクールがよい例ですが、才能に光を当てる場であるべきです。ローザンヌの目的は、世界中からチャンスに恵まれない若いダンサーを集めることであり、将来性のある子を見出して一流の学校に送り込むことも可能なのです。



ロイヤル・バレエ・スクールで生徒たちを指導するクリストファー・パウニー Photo: Schuhlelewis.com


EK:今スクールで教えているクラシック・バレエのスタイルについて、教えて下さい。
CP:現在の8年制過程は、フランス、デンマーク、ロシア等世界の歴史あるバレエ学校のシステムに、イギリスの由緒あるレパートリーを統合したものです。システムは時代とともに進化していかなくてはならない、というのは設立者のド・ヴァロワの教育一般についてのアプローチでもありましたが、私も、常に改良を怠らず、多様化する一方の現場からの要求に適応できる力を生徒たちにつけさせなくてはならないという信念を持っています。ちょうど今、教師陣でシステム全体を見直しているところですが、クラシックは確立されたジャンルなので、改めるべきところはほとんどないのです。スタイルについていえば、純粋なラインを保ち、アシュトンのエポールマンも正しく継承していかなくてはならない。その上で私達は、所属カンパニーからどんな作品をつきつけられても対応できるダンサーを育成すべく、時代とともに進んでいく必要に迫られている。だから私は様々なカンパニーを観にいき、関係者と話し、卒業生が現場にリアルタイムで対応できるように、常に動いていかなくてはならない。と同時に、私達が継承してきた偉大な作品には、より多くの時間を割きたいのです。学校公演で上演する『レ・ランデヴー』は、上体の横への倒し方、エポールマン、繊細さなど、私自身も敬愛するアシュトンならではの“イギリスらしさ”への理解を、生徒たちもこの作品で深めてくれるでしょう。(訳:長野由紀)